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風に消えてく歌
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冬流
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愛するバンドのライブへ行く(生きがい)/着物を着て出かける/愛猫&愛犬
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BLやBL風味を匂わす詩風や小説風なものや その時の気分などを書きなぐっています。
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初雪


しんしんと しんしんと 音もなく空から舞い落ちる白

約束の時間よりも20分も早く 約束の場所に着いた俺

いつも移動は自分の車
だから つい 今がどんな季節なのかを忘れかけていた
そんなことを思い知った今日
シャツの上に薄手のコートを羽織っただけの俺
きっと君は そんな俺を見て笑うだろう

銀色の空から削り落とされてくるような雪

寒さに体が震える
赤くなった両手に息を吐きかけると 息は白くなって空へと消えた
通り過ぎていくカップルが 落ちてくる白い雪を嬉しそうに見上げる

俺はそんな余裕はない
とにかく寒い

・・・・なんだか虚しい・・・

早く君に会いたい
君の笑顔を見たら きっとこの寒さも忘れられる

時計を見る
約束の時間まであと5分

きっと寒がりな君は モコモコのダウンジャケット
マフラーを巻いて帽子でも被って来るんだろう
そして 薄着で出てきて後悔してる俺を笑うんだ

そう思うと少しだけ寒さを忘れられる
楽しくなって ウキウキしてくる

ほら
駅から流れ出てくる人の波の中に君が現れた
俺を探してキョロキョロしてる
思ったとおりの格好をしている君
俺はなんだかおかしくて 思わず物陰に姿を隠した
ちょっぴり意地悪しても良いだろ?
こんなに待たされたんだから

そんなことを言ったら きっと君は
「それは 早く来すぎたからでしょ」
なんて言うんだろうな・・・

君がケータイを取り出すのが見えた
俺のコートのポケットの中でケータイが着信を知らせてる

「着いたよ。どこに居るの?」
「居るよ。すぐそばに」
「どこ?わからないよ」
「それは愛が足りないからじゃない?」
「何それ?」
君が小さく頬を膨らませたのが見えた
「まったく。そんな顔するなよ」
「なんでそっちから見えてこっちから見えないの?」
「どうしてだろうね?」
「隠れてるからでしょ!出てきてよ!」
と君が言った直後 俺は思わずクシャミをしてしまった

気付くと君の目がこっちを見てる
「見つかっちゃった?」
君が笑う
「また薄着してるんでしょ?」
かくれんぼの鬼に見つかってしまった俺は 鬼に近寄った
「・・・どのくらい待ったの?」
「ん?そんなに待ってないよ」
「うそ。鼻の頭が赤いし」
君は俺の手を ポケットから抜き出した
「手も赤くなってるよ。冷たいし」
君は手袋をした手で俺の両手を握った

暖かい・・・
じんわりと 君の暖かさが心にも染み入るよ

「早くどこかに入ろう。風邪ひいちゃうよ」
見上げられると 本当に俺は弱い
この上目遣い加減が可愛いすぎる
「反則だよなぁ」
「何が?」
「なんでもない」

俺は君と手を繋いで 交差点を渡る
今日はどこで遊ぼうか?

「雪 積もるかな?」
「俺達 雨男だもんね」
2人で笑った

雪は深夜まで降り続いた

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