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風に消えてく歌
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冬流
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愛するバンドのライブへ行く(生きがい)/着物を着て出かける/愛猫&愛犬
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BLやBL風味を匂わす詩風や小説風なものや その時の気分などを書きなぐっています。
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桜並木

桜の花が咲いたら きっとあの人も帰ってくる・・・

風が暖かくなると 川の土手沿いに植えられた桜並木が気になる
桜並木の下を行き交う人々の中に あの人の姿を探してしまう

天気の良い平日の昼下がり 桜並木の下を歩いてみた
桜の枝を見上げてみたが まだ花のつぼみも硬そうだ
花も葉もない枝の向こうに パステルブルーの空が広がっていた
川面を撫でて冷やされた風が髪を揺らす

ふいに 手首の古傷が痛んだ気がした

帰らない日々 帰らない人
待ち続ける自分 戻る気がする日々

川面に反射した日の光が 目に沁みて涙が溢れそうになる

「ヒロシ こんなとこにおったんか」

呼ばれて振り向くと ヨシくんが居た

「風邪ひいたって言うてたから お見舞いに来たのに もう大丈夫なの?」
「熱は下がったし」
「暖かくはなってきたけど 病み上がりで風に当たってたらぶり返すよ」
「ん・・・」

ヨシくんに手を引かれて部屋へ戻る
その背中に 呼び止めるかのように風が吹いた

振り返る

人影のない 花も咲いていない桜並木が どこまでも続いている
淡い期待を打ち消すような 現実がそこにあった

「どないしたん?ヒロシ?」

足を止めた俺を ヨシくんが呼ぶ

「・・・なんでもない」

会いたい なんて言えない
自分すら もう そこには居ない

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